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June 28, 2002

「近未来編」

強い人間なんてどこにもいやしない。強いふりのできる人間がいるだけさ。
(村上春樹:「風の歌を聴け」)

21世紀初頭、人類は遺伝子操作により史上初の人間の言
葉を理解するネコを作り出した。しかし、ネコは徐々に言
語を通じてネコの共同体を作り出すにいたり、ネコによる
人類への反乱が始まった。以来、人類とネコたちは熾烈な
争いを繰り広げ、ネコたちはとうとう人類をその支配下に
置くに至った。人類からも反乱ののろしを上げる指導者が
生まれ、人類とネコたちの闘いは一進一退を続けていた。
そして西暦2039年ついにネコたちは最終兵器としてネコ
そっくりのネコ型ロボットを作り上げ、人類の指導者の父
親である福岡市在住の岡野氏を抹殺すべくタイムマシーン
で2001年の世界にネコ型ロボットを送り込んだ。そのネコ
こそN-300式ネコ型ロボット、通称「ターミネーコー」で
ある。

ターミネーコーは巧妙なルートを通じ岡野氏宅に潜り込み、
自らを「ねこ山」と名乗り、課せられた任務を忠実にまっ
とうする機会を虎視眈々と狙い続けているのである。

ターミネーコーの一日はまず、諜報活動から始まる。朝、
岡野夫妻が仕事に出て行った後、悠然とう○こを済ませ
てから情報収集にとりかかる。ターミネーコーは手始め
として家中のふすまというふすまを破るという活動を行
う。このふすまを破るという活動の意味はそれほどない
が、ターミネーコーは破壊活動を目的としているのでと
りあえず目に入るものを破壊しようとするのである。次
にターミネーコーは台所をあさり、自らのエネルギーと
なる食物を手当たり次第食べてしまう。これはターミネ
ーコーの燃料を補給するという重要な意味を持つ。

そして、満腹になったターミネーコーはこたつの中で一
眠りする。これは確保された燃料(キャットフードやか
まぼこなど)が自らのエネルギーとして体内に蓄積され
るのを待つために重要なプロセスなのである。そして、
昼頃にこたつから起き出したターミネーコーはやおらト
イレに行きう○こをする。これはターミネーコーの体内
に無駄な老廃物が蓄積してその機能が低下するのを防ぐ
ための活動である。そしてターミネーコーは家の1階と
2階を行ったり来たりして、情報を収集する。1階にあ
るパソコンからはそのネットワークや重要な資料を見つ
け出し、2階の書斎にある書物から岡野氏の行動を分析
するための情報を収集する活動を行う。

そしてそれら一連の活動が終わった後、ターミネーコーは
1階にあるレターケースから自らのために買ってもらった
ネコのおもちゃを取り出し、遊びはじめる。ただ単に遊ん
でいるように見えるこの活動は来るべき時に備え、自らの
コンディションを維持するという恐るべき効果を持つので
ある。そして自らのコンディションが維持できるぐらいの
運動を終えた後、ターミネーコーはキャットフードを食べ
て再びこたつの中で寝てしまう。

いよいよ夕方になり岡野夫妻が家に帰って来るとやおら
こたつの中から出てきたターミネーコーは既になくなっ
ているキャットフードをねだるために岡野氏もしくは美
香夫人の脚にすりすりをする。こうやってターミネーコ
ーは活動のエネルギーを維持し続けるのである。そして
人間の夕食とともにキャットフードを済ませたターミネ
ーコーはきれいにしてもらった自分のトイレでう○こを
して、テレビを見てくつろいでいる岡野夫妻の傍らで活
動の機会を待ち続ける。そのうちターミネーコーは満腹
感とこたつの暖かさにうとうとし始め、気づいた時には
既に活動の機会を失ってしまっているのである。

人類を抹殺するという使命を帯びて、未来からやってき
た超高性能ネコ型ロボット、ターミネーコー・ねこ山の
一日はこうして暮れていく。

つづく

投稿者 nekoyama : June 28, 2002 05:43 PM