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August 31, 2002
お昼のニュース
人間、生まれてくる時泣くのなは、この阿呆どもの舞台に引き出されたのが
かなしいからだ。(シェイクスピア:「リア王」)
えー、12時になりました。お昼のニュースをお伝えします。
昨日、福岡市城南区の住宅地で車の下で雨宿りをしていたねこが別
のねこに襲われ、持っていたちくわを奪われるという事件が起きま
した。調べによりますと、ちくわを所持していたねこは仲間のねこ
と共謀し、昨日の夕方に近所の魚屋を襲撃して干物やちくわなどを
強奪していたことが分かりました。別のねこはこのねこ達の犯行を
見計らってその強奪品を計画的に略取したものと見られ、福岡県警
はちくわを奪われたねこから事情を聞くとともに別のねこの行方を
追っています。
また、昨夜遅く福岡市城南区の路上を歩いていたねこを警官が職務
質問しようとしたところ、そのねこが警官に飛び掛かり鼻の頭に噛
みつくなどしたため公務執行妨害の疑いで取り押さえ、事情を聞い
ています。警察の調べによりますと、そのねこはねこ島と名乗り、
2041年の未来からやってきたなどと語っており、自分は人間達から
動物の尊厳を守る活動をおこなっていると話しているということで
す。警官が更に詳しく質問しようとするとこれ以上は弁護士の立会
いの下でないと話せないと言っており捜査には時間がかかる模様で
す。
昨夜遅く、世田谷区の路上で血を流しながら歩いている少年が警察
に保護されました。調べによりますと少年は世田谷区内の小学校に
通う5年生で昨日の夕方父親に虐待を受けた後、ごみ捨て場に捨て
られたと語っているということです。少年は日ごろより父親やその
他の家族からいじめられており、この日は自分の甥にあたる幼児に
注意したところ激怒した父eが少年に殴る蹴るの暴行を加え、家族
もそれを黙認していたということがわかりました。警察は父親を傷
害の容疑で取り調べ、事情を聞いています。
現在中東で起こっているネコスチナ自治政府とネコラエルとの紛争
の停戦の調停のため、アメリカのマイケル大統領が今日ネコラエル
の首都ネコサレム入りしました。マイケル大統領はネコスチナ自治
政府のネコファト議長とネコラエルのニャロン首相との三者で会談
を開き中東のねこねこ安全保障の枠組みを作ることについて話し合
う予定です。
今年の6月に行われる4年に一度のねこねこワールドカップに備え
ねこねこ日本代表が今日午前成田空港を発ちました。ねこねこ日本
代表は日本のNリーグで活躍しているねこ24匹と現在ヨーロッパ
のリーグで活躍している4匹を加え、イタリアで親善試合を行いま
す。現在スペインのリーガ・エスパニャーラのネコセロナでレギュ
ラーとして活躍しているねこ沢選手も日本時間の今日午後にはイタ
リア入りする予定です。また、イタリアのねこ田選手が日本時間の
昨夜記者会見を行い、ワールドカップに望む意気込みを熱く語りま
した。
ねこ経済省が今日、2001年のねこ失業率を発表しました。ねこ経済
白書によりますと2001年のねこ失業率は64%で前年より4%低くな
っています。これは人間界の景気の回復に伴ってペットを飼う家庭が
増えたことやインターネット等のインフラが整備されたことによりね
こにもできる仕事の種類が増えたことなどが主な要因と見られていま
す。しかしねこにもできる仕事はまだ都市部に集中しており、地方へ
の普及にはまだ時間がかかる見通しで失業率の改善にはまだまだ時間
がかかりそうです。
以上、12時のニュースを岡野ねこ山がお伝えしました。
投稿者 nekoyama : 05:53 PM
August 21, 2002
ラジカルザサエさん2
一般に友情の名をもって呼ばれるものは、習慣、あるいは同盟である。
(ボナール)
やあ、僕ねこ山。
ス○ッフサービスの派遣で東京のイゾノ家にお世話になってもうす
ぐ一月になろうとしているが、まだタマはとなりのミケちゃんと失
踪中だ。ス○ッフサービスからも契約の更新を打診されたのだが、
僕は「ねこ山日記」の執筆活動を理由に契約を打ち切ってもらった。
こんなところで無益な時間を過ごしている余裕は僕にはないのだ。
当然、この一月の間には前回の事件に加え、さらなる事件が勃発し
たのであるが、その全ては書ききれないので主な事件をここに紹介
する。その事件も例によってダラちゃんのわがままが原因だったがそ
こに別の要因も加わってガツオの被害は甚大なものとなった。
その日は日曜日で、午後に親類のナビノ家が一家でイゾノ家に遊びに
来ていた。ナビノ家にはイグラちゃんという幼児がいてダラちゃんと
つるんでよくガツオをいじめている。「今日もガツオ兄ちゃんを困らせ
るでしゅー!」「ハァーイ!」こうして二人は試験勉強で追い込みにか
かっているガツオの部屋に行ってまわりで騒ぎ始めた。
「ブッブー、ブッブー、ドカーン!」「バブー!」「大変でしゅ!事故が
起きたでしゅ!救急車を呼ぶでしゅ!」「ハァーイ!」「ピーポー、ピー
ポー、ドカーン!」「ハァーイ!」「ああ!ミイラ取りがミイラになっち
ゃったでしゅ!」ダラちゃんとイグラちゃんはミニカーを部屋中に撒き
散らして騒ぎまくっていた。「ダラちゃーん、ぼく勉強してるから別の
部屋で遊んでくれないかなー?」ガツオはおそるおそるダラちゃんに言
ってみた。「ウエーン!ガツオ兄ちゃんが僕をいじめるでしゅー!」「バ
ブー!」と言ってダラちゃんとイグラちゃんは居間でとりとめのない話
をしている大人たちのところへ駆け込んだ。
「ガツオ!ダラちゃんをいじめたらダメでしょ!」とザサエが言う。「そ
んなぁー、ぼくはただ勉強の邪魔になるから他の部屋で遊んでくれって言
っただけだよー!」「お前は普段から勉強をしとらんから今ごろになって
あわてなきゃいかんのだ!」とナビヘイ。「試験前にどうして勉強したら
いけないんだよー!」とガツオは既に半泣きである。「黙れ!いいからさ
っさと公園にダラちゃんとイグラちゃんを連れて行って遊んでこい!」と
ナビヘイの踵落としがガツオの脳天に命中し、ガツオは白目を向いてひっ
くり返った。「さあダラちゃん、これでガツオに何でも好きなものを買って
もらいなさい。」と言ってナビヘイはダラちゃんに万札を渡した。「うれし
いでしゅー!」「ハァーイ!」と2人はナビヘイに抱きついた。「ハハハ、
これこれ。」とナビヘイは目尻を下げ、ダラちゃんとイグラちゃんはナビヘ
イからむしり取った万札を握り締めてガツオを引きずって外へ出かけた。
「ガツオ兄ちゃんにも分け前をあげるでしゅ!」と言ってダラちゃんは五
百円玉をガツオの足元に叩きつけた。「拾わないとあげないでしゅよ!」「
バブーッ!」「そんなぁー!」「パァーっと使ってしまうでしゅ!」「ハァー
イ!」ダラちゃんとイグラちゃんはガツオが五百円玉を拾っている間に高笑
いを残して走り去った。
そして1時間後、ほとぼりが覚めるのを待ってガツオが家に帰ると既にダ
ラちゃんとイグラちゃんは帰ってきていた。ダラちゃんとイグラちゃんは
パチンコに行って15分で1万円をすってしまったのである。そして2人
は居間でナビヘイに泣きついていた。「ウエーン!ウエーン!ガツオ兄ち
ゃんにお金を取られたでしゅー!」「ハァーイ!」ガツオはこの並々なら
ぬ雰囲気を察してまた外へ逃げ出そうとしたが、玄関で待ち伏せしていた
ワガメとザサエに捕まってしまった。「あんた!どうしてダラちゃんがもら
った小遣いを取り上げるのよ!」とザサエ。「知らないよー!ぼくダラちゃ
んに500円しかもらってないよー!」「やっぱり取ったのね!」「そんなぁ
―!」とガツオはザサエに耳をちぎれるくらい引っ張られ、ナビヘイの前
に突き出された。「あんたは今後一週間はご飯抜きよ!」とザサエ。「そう
よ!そうよ!」とワガメ。「ガツオくぅーん、ダメじゃないかー。」とノリ
ズケ。「どうしてお前はダラちゃんをいじめるんだい。」とブネ。「お前と
いうやつはもう許せん!」とナビヘイが華麗なフットワークでガツオのボ
ディに右フックを命中させた。「うぐっ!」と前のめりになるガツオのあご
を目掛けて今度はナビヘイの左キックが入った。グシャッ!と鈍い音がし
てガツオは血を吐きながら前のめりに倒れた。
そして1時間後寒空の下で目を覚ましたガツオは自分がごみ捨て場にいる
ことを理解した。「ちくしょう!絶対にグレてやる!」とよろよろと立ち
あがったガツオはふらふらしながら家とは反対の方向に歩き始めた。
その頃イゾノ家ではナビノ家を加えてみんなが鍋を囲んでいた。「まった
くけしからんやつだ!」とナビヘイ。「まあまあ、おじさん、ガツオ君も
魔が差したんですよ。」といってノリズケがナビヘイにビールをついだ。
「ダラちゃんもイグラもガツオ君を許すよな?」とノリズケが聞いた。「
もちろんでしゅー!だってガツオ兄ちゃんは大事な家族でしゅー!」「ハ
ァーイ!」と言ってナビヘイに抱きつくと、ナビヘイは「そうかそうか、
2人とも優しいなー。おりこうだからおじいちゃんが小遣いをやろうな。」
といってダラちゃんとイグラちゃんにそれぞれ一万円づつ渡すと「まあ、
よかったわね、イグラ。」とダイコが言った。「ハァーイ!」とイグラちゃ
んが返事をすると皆あははははははと笑ってこの日のダラちゃんイグラち
ゃんパチンコ事件も真相が究明されぬままジ・エンドとなった。
僕はこのようなイゾノ家の光景を眺めながら早く福岡に帰りたいなあと思
い、代わり映えのしないカリカリとねこ缶を食べ、トイレでう○こをする
と子供たちの被害が及ばないように皆から離れた部屋で眠りについた。
つづく
投稿者 nekoyama : 05:52 PM
August 14, 2002
日本ねこねこ新聞投稿欄「みんなの広場」
深い悲しみにはいつもいささかの滑稽さが含まれている。
(村上春樹:「我らの時代のフォークロア」)
○ 憤まんやるかたない税○署の対応
先日、確定申告のために早良区にある税○署に行ってきました
がそこの職員の対応に怒りを覚えました。ねこも社会の一員で
ある以上納税は当然の義務だと思いかねてよりくすねておいた
ししゃもとちくわを持って申告に行くと、職員が私の姿をみて
「ここはねこが来るところじゃない。」と言って私を玄関からつ
まみ出しました。こっちは忙しい中、義務を果たそうと思ってわ
ざわざ出向いたのにこんな対応では納税なんかしたくなくなりま
す。(城南区、執筆業・9ヶ月)
○ 職員の指導を徹底いたします。
ねこでありながら国民の義務を果たされようとする姿勢に感服い
たします。このような方に支えられて私たちの仕事が成り立って
いることを私たちは忘れてはなりません。対応した職員はスマキ
にしたうえ室見川に放り投げておきました。これからもこのよう
な横着な職員については厳しく指導していきたいと思っておりま
す。(福岡税○局早良出張所)
○ 記憶にない通話料の請求書
先月、N○Tから通話料の請求書がきました。開けてみてびっく
り。なんと、15万円もの請求となっており、通話明細を見てみ
るかけた覚えのないブラジルやカメルーンなどへの国際通話料
が計上されています。○TTに電話してこんな電話はかけた憶え
がないというと、確かに通話記録は残っているし通話料が計上
されている以上払ってもらわなければ困るの一点張りです。調
べてくださいというとNT○にはそんな義務はないとの答です。
いくら官庁払い下げの殿様企業でもこんな対応がゆるされるの
でしょうか。ねこだと思ってなめているのだと思います。ケー
タイは次から絶対写メ○ルにします。(東区、主婦・2歳)
○ 絶対に払ってください。
あんた、そないなこと言うけどな、こっちもボランティアでや
ってるのと違いまっせ。誰が使うたか知らんけど使うた分はは
ろうてもらわなあきまへんわ。それが資本主義っちゅうもんで
っしゃろ。もし払わなんだら、うちは出るとこ出てもかましま
へんのやで。あんさんがどこの電話会社と契約しようが関係あ
らへんがな。請求がきた分はがたがた言わんととっとと払って
えな。(N○T西日本)
このコーナーではみなさまのご意見・ご感想を募集しております。
(日本ねこねこ新聞・社会部)
投稿者 nekoyama : 05:51 PM
August 07, 2002
「羅生門」
いざとなったら、私は他人の食べ物を奪ってでも生き延びていくよ。
(五木寛之:「世界漂流」)
或る日の暮れ方のことである。一匹の黒白のねこが車の下で雨が上
がるのを待つてゐた。そこに別の白ひねこが雨宿りのために潜り込
んできた。毛は雨に濡れており、車の跳ね返りの泥を浴びて白ひ四
本の足とも茶色に汚れてゐた。
最初からゐたねこは後から来たねこのために場所を空けてやり、そ
れでもなほ降り止まぬ雨空を眺めてゐた。車の下で二匹のねこが雨
宿りを始め小一時間ほどたつたとき、最初からゐたほうのねこは後
から来たねこの口にちくわがくわへられてゐるのを目に留めた。
「それはちくわかい。」最初からゐたねこが後からきたねこにたずねた。
「ああ、さつき魚屋を襲撃したのさ。」と後からきたねこが言つた。「四、
五匹で一度に魚屋を襲つて主人が慌てふためひてゐるときに、皆其々自
分が欲しひと思ふものを盗んで逃げたのさ。」
「ああ、さうかい。しかし魚屋の主人には気の毒したねえ。魚を売つて
一家を支へてゐるんだらふ?」と最初からゐたねこが尋ねた。
「けっ、この不景気で我々ねこだつて食ふものに困つてゐるんだぜ。こ
うでもしなけりゃ、我々ねこは生き延びることだつてできやしないのさ。」
としたり顔で後から来たほうのねこが言つた。
「不景気ねえ。確かに昨今グロオバリズムとやらに飲み込まれて我々庶
民の生活は以前より不自由になつたやうな気がするねえ。」と最初のねこ。
「さうともさ。だから我々ねこは生き延びるために人様のものだつて横
取りしなけりゃいけないと言ふわけさ。」と後のねこ。
「さうだねえ。今の世の中奇麗事なんか言つてはゐられないんだねえ。」
「さうさ。生き延びるためには何だつてありだからな。だからいつ何時
でも横取りされる奴が悪ひのさ。
「きっと、さうか。」と最初のねこは言つて、後のねこにねこパンチを食
らわせた。「うわっ、何をする。」後のねこは不意をつかれてくわえてゐ
たちくわを足元に転がしてしまつた。さらに最初のねこは今度はねこキ
ツクを2発最初のねこにお見舞ひした。「うぐっ、むむむ。」後からきた
ほうのねこは腹を押さへてうずくまつた。その隙を逃さず、最初のねこ
はちくわをくわえて外へ走って行つた。外には唯、黒洞々たる闇がある
ばかりである。
最初のねこの行方は誰も知らない。
投稿者 nekoyama : 05:51 PM
ターミネーコー2
機械は人間の社会機構を真似る。(マンスフィールド)
西暦2039年の未来からやってきた超高性能ねこ型ロボット「ター
ミネーコー・ねこ山」は実は、人類の指導者の父親である岡野氏を
新型ターミネーコー・ねこ島から守るために派遣された人類の味方
であった。もちろん未来のス○ッフサービスからの派遣である。
ターミネーコー・ねこ山が2002年に来る1週間前に新型ターミネ
―コー・ねこ島は2041年の未来より岡野氏の抹殺のために派遣さ
れており、福岡市内で岡野氏を探していた。ねこ島が岡野氏の居所
を発見するより早くねこ山は岡野氏宅にもぐり込んでいた。ねこ山
はねこ島が派遣会社との契約条件の話し合いでもたついていた隙を
みて間一髪で岡野氏宅にもぐり込み、ねこ島の襲来から岡野氏を守
るべく活動を行っていたのである。
ターミネーコーねこ山の一日の活動はまずねこ島の襲撃に備えてエ
ネルギーを備蓄することから始まる。ねこ缶4分の1とカリカリを
スコップに半分もらって食事を済ませたあと、ねこ山はこたつに入
ってねこ缶とカリカリがエネルギーに変換するのを待つのである。
そして岡野氏と美香夫人が仕事に出て行ったあと、家の中のパトロ
ールを開始し、ねこ島の不審な動きの前兆がないかを確認する。
ひととおりパトロールが終わったあと、ねこ山は来るべきねこ島と
の闘いに備えてふすまを爪で破るなどして自らのファイティング・
コンディションを整える。そして昼のトレーニングが終わったあと
冷蔵庫から大好物のちくわを引っ張り出し、気づかれないように半
分だけを食べて、残りをまた冷蔵庫に戻しておくのである。実はち
くわはターミネーコーのエネルギーを増幅させる作用を持っている
のである。
そしてトレーニングによってエネルギーを消費したあと、その老廃
物が身体に溜まる前に廃棄するためトイレでう○こをする。そして
その老廃物の臭いがねこ島に気づかれないよう念入りにねこ砂をか
ぶせるのである。この作業は非常に重要なためねこ山は特に慎重を
期して自分のう○こがトイレに残っていると岡野氏に訴え、それを
スコップで取り除いてもらうのである。こうしてねこ山は自らの存
在をねこ島から隠すことに努力しているのである。
夕方になり岡野夫妻が帰宅するとねこ山は岡野氏あるいは美香夫人
の足にすりすりをして今日一日がいつもと変わりないことを報告す
る。そして来るべきねこ島の襲撃に備えて主人達とのコミュニケー
ションを綿密にとるため、ねこ山はひざの上でグルグルとのどをな
らして自分の状況を伝えることも怠りない。
そして夕食と称したエネルギー補給のあと、美香夫人が洗濯のために
ベランダに出ると自らも美香夫人を守るためにベランダに出て近所の
ねこ達の動きを監察するのである。主人達の夕食の後、ねこ山は襲撃
の危険性が高い夜のパトロールを入念に行い、家の周辺にねこの気配
を感じるとすかさず主人たる岡野氏に真っ先に知らせるのである。特
に位置的にねこ島の襲撃の危険性が高い勝手口においては1時間以上
も見張りを行うことは珍しくない。
主人達が一日の活動を終え、就寝する時間になるとねこ山は2階の窓
から道路を眺め、近所のねこ達の動きを警戒する。特に生ごみの日の
月・木曜日の夜にはのらねこに扮したねこ島の襲撃の可能性に備えて
ねこ山は主人達が無事に寝静まるまで警戒を怠らない。そしてねこ島
の襲撃がないことを確認すると自らも美香夫人の布団にもぐり込んで
明日の活動に備えて自らの身体を休めるのである。
2039年の未来からやってきた超高性能ねこ型ロボット、ターミネーコ
ー・ねこ山はこのようにして人類の指導者の父親である岡野氏、ひい
ては人類の未来を守るために日夜活動をつづけているのである。
つづく
投稿者 nekoyama : 05:50 PM
August 01, 2002
ラジカルザサエさん
一番重要なのは周りの大人たちの成熟し、屈曲した様々な種類の感情の放射か
ら子供を守る責任を誰が引き受けるかということにある。
(村上春樹:「今はなき女王のための」)
やあ、僕ねこ山。
今月僕は東京に出てきて、世田谷区にあるイゾノ家にお世話になっ
ている。何でも飼い猫のタマがイザザカ先生のお宅のミケちゃんと
共に失踪したらしく、彼が見つかるまで急遽僕が代役を務めること
になったのだ。契約期間は一ヶ月である。もちろんス○ッフサービ
スの紹介だ。
イゾノ家は7人家族で家長のナビヘイ、その配偶者のプネ、その
長女ザサエ、弟のガツオ、妹のワガメ、ザサエの配偶者のマズオ、
彼らの唯一の子供のダラちゃんという構成になっている。
タマの代役と言っても仕事はほとんどなく、ただつれづれなるまま
に日暮しをしていればよいのだが僕のレーゾンデートルは社会の矛
盾や欺瞞を暴き陽の目に曝すということなのでこのイゾノ家で起こ
った出来事などを記してみる。
今日もまたダラちゃんのわがままで始まった。なんでもガツオがお
年玉をためて買ったというプ○イステーションを欲しいとダラちゃ
んが言い出したのがきっかけだ。もちろんダラちゃんはプ○イステ
ーションなんかを扱えるわけがなく、ダラちゃんはイゾノ家でナビ
ヘイの次に発言権を有していることを知って、ガツオを困らせてい
るのである。「暇だからガツオ兄ちゃんでも困らせて遊ぶでしゅ!」
「ガツオ兄ちゃんが僕をいじめるでしゅ!」と言ってダラちゃんは
まず母のザサエのところに駆け込んだ。無論ガツオはダラちゃんを
いじめてなんかいず、ただ、「これはダラちゃんにはちょっと無理だ
よー。」と言ってダラちゃんのわがままをいさめていたのであるが、
ダラちゃんは頑としてプ○イステーションを離そうとしない。「ダラ
ちゃん、返してくれよー。」とガツオが下手に出て頼むが、ダラちゃ
んのわがままはエスカレートしていく。「おじいちゃんにいいつける
でしゅ!」と言って仕事から戻ってきたばかりのナビヘイのところ
へ走っていった。
「ガツオ!お前はなんでそんなに自分勝手なんだ!」とナビヘイ。
「あなたはお兄ちゃんだから少しぐらいダラちゃんに貸してあげな
さい。」とブネがノーテンキにガツオに言う。「だって母さん、ダラ
ちゃんがこんな複雑な機械を使いこなせるわけないじゃないか。そ
れに僕だっていろいろとやることがあるんだよ。」とガツオ。「お兄
ちゃんヒドイ!ダラちゃんをいじめたらかわいそうよ!」とワガメ。
「ガツオくぅん、ちょっとだけならいいだろう?」とマズオ。「そん
なにわがまま言うならあなただけ晩ご飯抜きよ!」とザサエ。「そん
なぁー!」
そんなやりとりのあと、ダラちゃんはプ○イステーションを小一時
間いじり続け、あまつさえ機械を壊してしまったのである。「ほら!
だから言ったじゃないか!ダラちゃんには無理だって!どうしてく
れるんだよ!!」ガツオがザサエに訴える。「しょうがないじゃない。
ダラちゃんは子供なんだから。」とザサエはそっけなく答える。「今
日、ツ○ヤから借りてきたCDを編集しなくちゃいけないんだよ!
レンタル代が無駄になっちゃうじゃないか!」とガツオは既に半泣
きである。
「そんなことやってる暇があったら勉強しなさい!」とザサエ。「そ
ういえば今日のテストの結果お父さんに見せたの?」とワガメが言う。
「そんな話は聞いてませんよ。」とブネ。「ガツオくぅーん、僕が宿
題見てあげるからさー。」とマズオ。「それとこれとは話が違うじゃな
いかー。」とガツオが地団駄を踏む。「うえーん!うえーん!」ととう
とうダラちゃんが泣き出し、「ガツオ!!いつまでもわがまま言うん
じゃない!!!」とナベヘイの右ストレートがガツオの左頬に炸裂し
た。「くっそー!!ぐれてやる!」とガツオは泣きながら部屋へと逃
げ帰った。
「よしよしダラちゃん、今度おじいちゃんとベ○ト電器に行こうな。」
とナビヘイがダラちゃんに言うと、「ほんとでしゅかー?」とさっき
まで嘘泣きをしていたダラちゃんが急に飛び起き、「うれしいでしゅ
ー!」とナビヘイに抱き着いた。「これこれ。」とナビヘイは目尻を下
げ、「よかったわね、ダラちゃん。」とザサエはうまくナビヘイからダ
ラちゃんの小遣いをむしりとったことに満足気である。「ダラちゃん
はいい子だから、おじいちゃんにおもちゃを買ってもらえるのよ。」
とブネが相変わらず訳の分からないことを言い、皆あはははははと笑
いダラちゃんプ○イステーション事件はジ・エンドとなった。
僕はそんなイゾノ家の一日を見て、これではタマが逃げ出すのも無理
はないと思った。僕はタマ用のトレイの上に用意してあるカリカリを
少し食べ、水を飲み、そしてう○こをしてからこれから一月気が重い
なあと思いながらこたつの中で眠りについた。
つづく
投稿者 nekoyama : 05:49 PM