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August 01, 2002
ラジカルザサエさん
一番重要なのは周りの大人たちの成熟し、屈曲した様々な種類の感情の放射か
ら子供を守る責任を誰が引き受けるかということにある。
(村上春樹:「今はなき女王のための」)
やあ、僕ねこ山。
今月僕は東京に出てきて、世田谷区にあるイゾノ家にお世話になっ
ている。何でも飼い猫のタマがイザザカ先生のお宅のミケちゃんと
共に失踪したらしく、彼が見つかるまで急遽僕が代役を務めること
になったのだ。契約期間は一ヶ月である。もちろんス○ッフサービ
スの紹介だ。
イゾノ家は7人家族で家長のナビヘイ、その配偶者のプネ、その
長女ザサエ、弟のガツオ、妹のワガメ、ザサエの配偶者のマズオ、
彼らの唯一の子供のダラちゃんという構成になっている。
タマの代役と言っても仕事はほとんどなく、ただつれづれなるまま
に日暮しをしていればよいのだが僕のレーゾンデートルは社会の矛
盾や欺瞞を暴き陽の目に曝すということなのでこのイゾノ家で起こ
った出来事などを記してみる。
今日もまたダラちゃんのわがままで始まった。なんでもガツオがお
年玉をためて買ったというプ○イステーションを欲しいとダラちゃ
んが言い出したのがきっかけだ。もちろんダラちゃんはプ○イステ
ーションなんかを扱えるわけがなく、ダラちゃんはイゾノ家でナビ
ヘイの次に発言権を有していることを知って、ガツオを困らせてい
るのである。「暇だからガツオ兄ちゃんでも困らせて遊ぶでしゅ!」
「ガツオ兄ちゃんが僕をいじめるでしゅ!」と言ってダラちゃんは
まず母のザサエのところに駆け込んだ。無論ガツオはダラちゃんを
いじめてなんかいず、ただ、「これはダラちゃんにはちょっと無理だ
よー。」と言ってダラちゃんのわがままをいさめていたのであるが、
ダラちゃんは頑としてプ○イステーションを離そうとしない。「ダラ
ちゃん、返してくれよー。」とガツオが下手に出て頼むが、ダラちゃ
んのわがままはエスカレートしていく。「おじいちゃんにいいつける
でしゅ!」と言って仕事から戻ってきたばかりのナビヘイのところ
へ走っていった。
「ガツオ!お前はなんでそんなに自分勝手なんだ!」とナビヘイ。
「あなたはお兄ちゃんだから少しぐらいダラちゃんに貸してあげな
さい。」とブネがノーテンキにガツオに言う。「だって母さん、ダラ
ちゃんがこんな複雑な機械を使いこなせるわけないじゃないか。そ
れに僕だっていろいろとやることがあるんだよ。」とガツオ。「お兄
ちゃんヒドイ!ダラちゃんをいじめたらかわいそうよ!」とワガメ。
「ガツオくぅん、ちょっとだけならいいだろう?」とマズオ。「そん
なにわがまま言うならあなただけ晩ご飯抜きよ!」とザサエ。「そん
なぁー!」
そんなやりとりのあと、ダラちゃんはプ○イステーションを小一時
間いじり続け、あまつさえ機械を壊してしまったのである。「ほら!
だから言ったじゃないか!ダラちゃんには無理だって!どうしてく
れるんだよ!!」ガツオがザサエに訴える。「しょうがないじゃない。
ダラちゃんは子供なんだから。」とザサエはそっけなく答える。「今
日、ツ○ヤから借りてきたCDを編集しなくちゃいけないんだよ!
レンタル代が無駄になっちゃうじゃないか!」とガツオは既に半泣
きである。
「そんなことやってる暇があったら勉強しなさい!」とザサエ。「そ
ういえば今日のテストの結果お父さんに見せたの?」とワガメが言う。
「そんな話は聞いてませんよ。」とブネ。「ガツオくぅーん、僕が宿
題見てあげるからさー。」とマズオ。「それとこれとは話が違うじゃな
いかー。」とガツオが地団駄を踏む。「うえーん!うえーん!」ととう
とうダラちゃんが泣き出し、「ガツオ!!いつまでもわがまま言うん
じゃない!!!」とナベヘイの右ストレートがガツオの左頬に炸裂し
た。「くっそー!!ぐれてやる!」とガツオは泣きながら部屋へと逃
げ帰った。
「よしよしダラちゃん、今度おじいちゃんとベ○ト電器に行こうな。」
とナビヘイがダラちゃんに言うと、「ほんとでしゅかー?」とさっき
まで嘘泣きをしていたダラちゃんが急に飛び起き、「うれしいでしゅ
ー!」とナビヘイに抱き着いた。「これこれ。」とナビヘイは目尻を下
げ、「よかったわね、ダラちゃん。」とザサエはうまくナビヘイからダ
ラちゃんの小遣いをむしりとったことに満足気である。「ダラちゃん
はいい子だから、おじいちゃんにおもちゃを買ってもらえるのよ。」
とブネが相変わらず訳の分からないことを言い、皆あはははははと笑
いダラちゃんプ○イステーション事件はジ・エンドとなった。
僕はそんなイゾノ家の一日を見て、これではタマが逃げ出すのも無理
はないと思った。僕はタマ用のトレイの上に用意してあるカリカリを
少し食べ、水を飲み、そしてう○こをしてからこれから一月気が重い
なあと思いながらこたつの中で眠りについた。
つづく
投稿者 nekoyama : August 1, 2002 05:49 PM