« September 2002 | メイン | November 2002 »
October 30, 2002
超ハードボイルド短編連載小説−ネコルゴ13 第2話「猫たちの宴」
人は何かを消し去ることはできない。消え去るのを待つしかない。
(村上春樹:「タクシーに乗った男」)
Scene1−九州F県H村
ネコルゴ13ことデュークねこ山はF県H村にある書斎兼別荘で夏の
休暇をとっていた。神経を張り詰めなければならない仕事の連続であ
るネコルゴにとってこの休暇のひと時が彼にとって唯一普通のねこに
戻れる時間なのである。
世界中に数多くある別荘の中でもこのH村にある別荘は特に彼のお気
に入りであった。というのもここH村はケータイも通じなければラジ
も入らないという山奥だからである。交通手段も自分で運転する車以外
では近づくことはほぼ不可能、鉄道も一応通ってはいるがおよそ3時間
に1本という恐るべき頻度で人の往来をことごとく拒絶しているかのよ
うな地理的条件が危険と背中合わせの彼にとってリラックスできる環境
を作り出していた。
言うまでもないことだが、彼は世界をまたにかける超一流のスナイパー
ねこであり、顧客も選べるほどいるが、敵もまた多い。彼の過去の仕事
によって人生を狂わされた者、彼を倒して名をあげようとする者など彼
を狙う輩は数多く、プライベートと言えども気の休まる時間は少ないの
である。
Scene2−別荘の寝室
ネコルゴは、仕事で疲れた身体を休めるのと同時に緊張の連続だった神
経を静めるため、寝室のベッドの中でねこ大好きフリスキーをつまみに、
世界最高級と言われるH村産のマタタビをふんだんに使ったマタタビ酒
をちびちびと飲んでいた。
その時である!窓の外から別荘の中の彼を目掛けて黒い影が2つ飛んで
きたのだ。ネコルゴはそのずば抜けた反射神経でその2つの影を間一髪
でよけると敵の死角である柱の影に転がり込んだ。なおも黒い影はネコ
ルゴの姿を探して寝室の中を飛び回っている。「あれは!」ネコルゴはそ
の2つの影がツバメであることを見破った。しばらくネコルゴが帰ってい
ない間にツバメは彼の別荘の軒先に巣を作り、子孫繁栄のために卵を産ん
でいた。そしてちょうどヒナが帰った次の日にネコルゴが別荘に来たため
ヒナを狙うノラねこと勘違いしてツバメはネコルゴを威嚇してきたのであ
る。
ネコルゴは敵の正体を見破りとりあえず安心したが、このままでは休暇が
台無しになってしまうという懸念に襲われた。誰であろうと自分の邪魔を
する者は許さない。それがネコルゴの揺ぎ無い信念でもあった。しかし相
手はネコルゴをスナイパーと知った上で闘いを挑んでいるわけではない。
ただ子育ての都合上、障害を排除しようとしているだけである。そこでネ
コルゴは共存共栄という名案を思いついた。ツバメに自分の別荘の軒先を
貸す代わりに敵の襲来をいち早く発見できるツバメに情報を提供してもら
うのである。
ネコルゴはこの名案を相手に伝えようとしてツバメに近寄ろうとするがそ
れを見たツバメはさらに激昂してネコルゴを威嚇しようとネコルゴの尻尾
や耳をくちばしで攻撃してくるのである。そしてついにネコルゴの堪忍袋
の緒を切らす事件が起きたのだ。ツバメは2匹できりもみ飛行をしながら
ネコルゴに接近するとネコルゴの頭上で交差し、その瞬間う○こをしたの
である。その2匹のう○こはツバメの飛行速度とあいまって時速60キロ
のスピードでネコルゴの頭に命中した。そしてケケケケと高笑いを残して
2匹のツバメは山の向こうの方に消えてしまったのである。
「許せん!」ネコルゴは自ら闘いを挑むことはないが相手から先制攻撃を
仕掛けられた場合は直ちに迎え撃つことにしているのである。彼は神経を
研ぎ澄まし、ツバメの次の攻撃を待った。そして2分後にツバメが再び姿
を現したとき、ネコルゴは目にも留まらぬ早わざでねこパンチを放った。
そして、ネコルゴのねこパンチを首筋に受けたツバメは白目を向いて床の
上にひらひらと落下してきたのである。
「ふう、危機一髪だったな。」ネコルゴが自分の技のあまりのキレのよさに
感慨にふけっているそのときである!今度は、屋根裏からブーンと地鳴りの
ような音が聞こえてきた。そして部屋の中に黒い点が無数に散らばっていっ
た。「あれは!!」そう、ネコルゴが別荘を留守にしていた間、屋根裏には
ミツバチが巣をたくさん作っていたのである。そしてネコルゴとツバメとの
闘いの物音に反応してミツバチが来襲してきたのである。ブーン、ブーン。
「うわっ、これはたまらん!」たまらずネコルゴは窓から外に飛び出して
別荘を振り返ってみた。すると、無数のミツバチとツバメが別荘の上を旋回
していたのである。
そう、ツバメとミツバチは共同戦線を結んでいたのである。そして一方が攻
撃されたとき、もう一方がその相手を攻撃するという密約を結んでいたのだ。
すでに別荘の周りはミツバチとツバメの黒い陰に覆われており、ネコルゴが
別荘の中に入るのを許さなかった。ネコルゴが仕事で離れていた間に別荘は
すでにミツバチとツバメの手に落ちていたのである。「ふっ、あの別荘はく
れてやろう。」そう言い捨ててネコルゴは吸っていたマタタビをピン−と投げ
捨てた。
デュークねこ山、通称ネコルゴ13。本名、国籍、年齢全て不明。しかし裏の
世界では名の通ったスナイパーねこである。彼にとっては毎日が闘いの日で
ある。いつ彼に安息の日はやってくるのであろうか。
つづく。
投稿者 nekoyama : 06:04 PM
October 21, 2002
「ねこねこ訴状」
知識は必ずしも人間にとってプラスではないが、無知ということは時には罪を
犯す原因にもなる。(ロシア文学者の言葉)
訴状
1. 当事者
原告:福岡県福岡市城南区田島三丁目21−○× 岡野ねこ山
被告:福岡県福岡市城南区田島三丁目21−×○ ねこ島
2. 事件名
ちくわ横取り損害賠償請求事件
3. 訴訟物の価額
金 1267円
4. 貼用印紙額
金 5万円
5. 請求の趣旨
一、 被告は原告に対し、金267円並びに損害賠償額
1000円およびこれに対する年5分の割合による
金員を支払え
二、 訴訟費用は被告の負担とする
との判決並びに仮執行の宣言を求める。
6. 請求原因
被告は去る平成14年××月○○日に2階の窓から原告の家に
忍び込み、一階にある冷蔵庫からちくわを一袋(3本入り)を
原告にことわりもなく持ち去った。その際原告のトイレで悠然
とう○こを済ませ、また2階の窓から立ち去った。その後、原
告は屈辱にまみれながら、被告のう○こを片付けた。その際の
精神的苦痛を原告による損害賠償請求原因とする。
7.証拠方法
甲一号証 ちくわ購入の際の領収書の写し
甲二号証 冷蔵庫に付着した肉球跡の写真
甲三号証 被告の肉球の写真
甲四号証 食べ残したちくわの歯形の写真
甲五号証 被告の歯形の写真
甲六号証 原告と家族が別荘で撮った記念写真
甲七号証 原告が飼い主に買ってもらったねずみのおもちゃ
平成14年○○月××日
福岡簡易裁判所御中
投稿者 nekoyama : 06:03 PM
October 14, 2002
「アンダルシアの猫」
神はどこからともなく始まる。(ジョルダーノ・ブルーノ)
やあ、僕ねこ山。
日本列島は梅雨に入り、最近どうも寝苦しい。
今朝も寝苦しさのあまり変な夢を見たので、ここで紹介しようと
思う。
季節はおそらく夏で、僕は田舎の広い一軒家にいた。その夜は満
月で、うっすらと雲がかかっていた。僕が縁側でその満月を眺め
ていたとき、その満月を横切るように細長い雲が右から左に流れ
ていった。そのとき、僕はある衝動に駆られてしまったのだ。
僕は急いで部屋の中に戻ると、部屋中のふすまというふすまを爪
で思いっきり引き裂いた。するとその裂けたふすまの中から鉄砲
水が噴き出してきて、僕は思い切り流されてしまったのだ。
次に僕が気が付くと、僕はまた部屋の中にいた。なぜだか知らな
いが、その部屋には大きなグランドピアノがおいてあり、その上
にはロバが2匹あぐらをかいて煙草をふかしていた。なぜこんな
ところでロバが煙草をふかしているんだろうと不思議に思いなが
らそのピアノに近寄ってみると、ピアノの足にロープが巻きつい
ており、そのロープの先にはターミネーコーがいて一心不乱にそ
のピアノを引っ張っていた。
そして、ターミネーコーがピアノを引っ張って行った先の部屋に
は、ゴキブリがいっぱいいてあるものは床を這い、あるものは空
中を飛んでいた。僕はとりあえず、狩猟本能にまかせてゴキブリ
を一匹づつ捕らえてはもてあそんでいたが、ゴキブリは次から次
へとやってくる。これはとてもかなわないと思い、僕は一目散に
その部屋から逃げ出すとそこは砂漠だった。
そして、その砂漠には、ねこ島君とターミネーコーが上半身だけ
出して埋まっていて、空には「春爛漫」と書いてあった。
これが僕がみた夢の一部始終だ。
投稿者 nekoyama : 06:01 PM
October 07, 2002
「ねこねこワールドカップ」
少なくとも、猫が安心して眠っている間は取りたてて悪いことは何も起こらな
いだろうという気がする。(村上春樹:「村上朝日堂ハイホー!」)
さあ、4年に一度のねこ達のサッカーの祭典、ねこねこワールドカ
ップ、通称ニャ−ルドカップが始まりました。今日はここ福岡市城
南区体育館の裏の空き地で初戦、日本対ブラジルが行われます。解
説は私、ねこ村と実況は元日本代表であるねこ田氏でお送りしてい
ます。今年は我が日本がその開催国に選ばれているわけですが、こ
れまでのニャ−ルドカップでは開催国が、1次リーグを突破できな
かったことはないんですね。そういう意味でも、今回のニャールド
カップはねこねこ日本代表の未来を占う試金石であると言ってもい
いでしょう。対戦相手のブラジルは自他共に認めるねこねこサッカ
ーの最高峰ですが、そのブラジル相手に史上最強とも言われている
日本代表がどこまで食い下がれるのか、あるいは相手に引導を渡す
ことができるのか。いよいよキックオフです。
今、キックオフの笛が吹かれました。ブラジルボールでのキックオ
フです。最初にブラジルの選手を追っていったのは、ねこ島選手で
すね。ねこ島選手はそのフィジカルの強さから「ターミネーコー」
の異名を持っています。その「ターミネーコー」ねこ島選手、さら
に福岡出身の期待の新星であるねこ山選手が今回注目の選手と言っ
てもいいでしょう。
ブラジルは簡単にボールを回してきます。ブラジルには、イタリア
リーグで得点王に輝いたロニャウド選手、リーガ・エスパニャーラ
で活躍するロベルト・ニャルロス選手など豊富なタレントがいます。
今回の大会での一つの関心はこのロニャウド選手が得点王争いにど
こまで絡んでこれるかというのもあります。ねこ田さん、この点ど
う思われますか?
そうですね、ロニャウド選手は今回のニャールドカップ前にしっぽ
に怪我をして今大会への出場も危ぶまれていたんですが、不屈の精
神力と素晴らしい回復力で今大会へ照準を合わせてきました。4年
前の雪辱を晴らす一心だと思いますね。その不屈の精神力をもって
すれば得点王は可能だと思います。
ねこ田さんの得点王一押しはやはりロニャウド選手ですか。おぉー
っと、ファールです。日本選手にファールがありました。あっと、
レッドですか?レッドカードです!ねこ島選手にレッドカードが出
されました。開始たったの2分でレッドカードです。ねこ島選手、
猛然と審判に抗議しています。他の選手達も集まってきますね。ほ
とんど全部の選手がセンターサークル付近に集まってきています。
あっ!ねこ島選手が審判にねこパンチを喰らわせました!ついでに
ロニャウド選手の足に噛み付いています!今度はブラジルの選手が
日本の選手にねこキックを浴びせました!
ピッチ上では至るところでねこ同士の乱闘が起きています!あぁー
っと、ゴールの前ではキーパーが地面ですりすりしています。反対
のゴールでは、ブラジルのキーパーがゴールポストにスプレーをし
ています。あっ、日本のねこ山選手はピッチ上に穴を彫り始めまし
た、何をするつもりでしょう。あっ!あの格好はもしや!やはりそ
うです!う○こです!ねこ山選手、ピッチの上でう○こをしていま
す。そして、そ知らぬふりで土をかぶせ始めました!誰もねこ山選
手がう○こをしたことには気づいていません!あっ!ブラジルの選
手たちがマタタビを吸い始めました!地面にすりすりしています!
完全に酔っ払っています!もう、やりたい放題です!収拾がつきま
せん!主審が試合終了の笛を吹きました!誰も聞いていません!あ
い変わらずピッチ上ではねこ達が好き放題やっています!まだまだ
この混乱は治まる気配がありません!
アジア初のニャールドカップ初戦は、たったの4分で試合終了とい
う結果に終わりました。これから一ヶ月間の混乱の幕開けとなりそ
うです。次は、明日北九州市小倉での試合の模様をお伝えいたしま
す。福岡からねこ村がお伝えいたしました。
投稿者 nekoyama : 06:00 PM
October 01, 2002
週間ねこ
家より価値あるところは何処に? 到る所に。(エルヴェ・バカン)
やあ、僕ねこ山。
「ねこ山日記」執筆の資料を集めるために昨日本屋に行ってまとめ
て本を何冊か買ってきた。僕がよく使うのは割と近所にある黒○書
店なのだが、本屋に並んでいる様々な本を見て僕はあることに気が
付いた。最近「週刊○○」とか言う雑誌がやけに多いのだ。例をあ
げてみると、「週刊世○遺産」、「週刊世○の都市」、「週刊人体の不
○議」さらに「週刊スターウ○ーズ」や「週間そ○なんだ!」とい
うものまである。
これはどういうことかと僕は少し考えてみた。
資本主義が高度に発達したこの現代社会においては、ひとびとの趣
味や嗜好というものが極度に細分化され、色んな人が色んなものに
対して持つ趣味・興味が市場となり、結果その需要にこたえるべき
供給が充実してきたということだろう。
すなわち、あらゆる嗜好を持つ人のニーズに応えうる商品ないし情
報が充分に供給されうるというシステムが出来上がっているのだ。
この調子で行けば、「週刊換気扇」や「週刊パンの耳」、「週間深海魚
」やさらに「週刊つげ義春」という雑誌が発売されてもおかしくな
い。
このように人間の世界では個人の嗜好に応える商品が充実してきて
いるのだが、残念なことにねこの世界では個々のねこの趣味・趣向
に応えうる商品ないしは情報が未だ充分に与えられてはいないのが
現状である。
このことについて、近所に住むねこ島君と話し合った結果、我々ね
こも個々の権利を充実させるべく訴えていくべきだと言う結論に達
した。いみじくも民主主義を標榜している日本という国家に対して、
我々ねこ族も生活の向上を訴える権利があるはずだし、権利の獲得
に向かって努力していかなければならないのだ。人類も永い歴史の
中で、そうやって一つ一つ権利を獲得してきたはずだ。
僕のまわりにいるねこ達を見てみるだけでも彼らの趣味・趣向はゴ
キブリハンティング、ケンカ、マタタビトリップ、昼寝、魚屋襲撃、
人間ウォッチング等など非常に幅広い。そこで我々の嗜好を雑誌に
反映させるとするとどのような商品ができあがるか少しリサーチし
てみた。その結果「週刊ちくわ」「週刊公園の砂」「週刊ふすま」な
どが売れ筋であろうという結論に達した。
しかしながら、これらの商品を流通させるに綿密な市場調査と分析
が不可欠だし、また商品を製造するには莫大な資本投下が必要とな
る。残念ながら僕たちはこれらのアイデアを商品としてねこ界に流
通させるシステムや情報をもっていない。溢れ出るアイデアがあり
ながら、それを商品として流通させ、対価を得るためのシステムを
有しないために埋もれているアイデアというものはこの世の中に数
多くあるはずだ。しかも、画期的なアイデアでありながら、顔の見
えない不特定多数の消費者を対象としたマーケティングによって
日の目を見ずに淘汰されていったものも少なくないはずだ。
僕は商売にはおよそ不向きなこのようなピンポイント的商品の開発
に日夜しのぎを削りかつ最小公倍数的消費者に到達させるためのシ
ステムが作られることを願ってやまない。そういう努力がひいては
日本と言う国の生産力向上に結びつくはずである。モノづくりに関
しては、「くだらないけどハッピー」が僕のモットーだ。
投稿者 nekoyama : 05:59 PM