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February 14, 2003
サンタクロース外伝
「雨はね。」微笑しながら彼女は言った。「傘をさした人の上にだけ降るの。」
(新井満:「ヴェクサシオン」)
やあ、僕ねこ山。
今年も例によってクリスマスがやってくる。厳密に言うとやってく
るのはクリスマスではなくてサンタクロースという煙突フェチのじ
いさんと文字通り鈴なりに角に鈴をつけたトナカイなのだが、今年
はどうも不景気でクリスマスプレゼントの売上が悪いらしい。
サンタクロースといえども地球を覆っている資本主義の例外ではな
く、そのサービスによって利益をあげていることはあまり知られて
いない。
つまりこういうことだ。まだ社会の仕組みをそんなに知らない子供
たちが、どこから仕入れたか知らないが無邪気に父親あるいは母親
に、なんでも世の中には年末頃にクリスマスというイベントが存在
し、どうもそのイベントの際にはサンタクロースという紅白の衣装
をまとった白髪の老人がトナカイが引くソリに乗ってやってきて紳
士然としてプレゼントを配って回るらしいという知識を得意満面で
伝えるのである。すると父親あるいは母親はその知識が全くの誤り
であることを認識しながら、真実を子供たちに伝えることによって
子供たちが逆上し、家庭内の家具や家電製品を破壊し、かつ父親あ
るいは母親に対し暴力をふるい、果ては家の外に飛び出し路上に仰
向けに寝転がりやだやだと駄々をこねるといった事態になることを
恐れ、「もし貴君が品行方正かつ慇懃静寂に努めていればかの老人が
貴君に対し報酬として何がしかの物品を贈呈する可能性がある。」と
いう旨のことを子供に伝えるのである。すると子供は単純であるので、
世の中が虚飾にまみれているというようなことなど思いもよらずクリ
スマスの前日に自分の寝床の枕もとに靴下をぶらぶらとぶら下げてお
くという事態に陥るのである。
そういう事態に陥った以上、父親あるいは母親はその子供の期待が
暴虐な世の中の現実に裏切られたことを認識するに至り、通学拒否
あるいは往来における通行人襲撃のような行為におよぶのを恐れて、
フ○ンランドにあるサンタクロース商事Mに手数料を支払って子供
だましの商品を宅配してくれるように依頼するのである。このよう
にしてサンタクロース商事Mの経営者であるサンタクロースは毎年
利益をあげているのである。
しかし、今年は底の見えない不況により家庭内の治安の悪化よりも
財政緊縮に優先順位をおき、上記のような危険な事態に陥ってもク
リスマス商品の配達依頼を手控える家庭が増えてきているという調
査結果が出た。すると売上が落ちるサンタクロース商事Mは在庫が
増えるのを懸念して商品の値を下げて、薄利多売でも商品の流動化
を高めて効率化を図ろうとするのである。その結果、ユ○クロや無
○良品といった価格破壊の店舗が増え我々消費者は割と上質な商品
を安価で購入することができるのである。そういう意味ではサンタ
クロース(あるいはトナカイ)も消費者の味方であると言ってもい
いかも知れない。
投稿者 nekoyama : February 14, 2003 06:26 PM